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愛の言葉

小さいころから、どうしても信じられない
ことがあった。それは父と母が恋愛結婚だ
ということだ。

正直言って夫婦仲はあまり良いとは思え
なかったし、何より二人が若かりしころに
どんな恋愛をしたのか、
全く想像できなかった。

私にとって二人は、男女ではなく父親と
母親であるからだ。
それ以外、何者でもない。

母は、父の元に嫁いで、ずいぶんと苦労
していたと思う。

父は知らないかもしれないけど、
父方の家族から謡くいじめられていた。

母はいつもいつも泣いてばかりで、
でも小さかった私には、
どうすることも出来なかった。

幼な心に「ああ、結婚して奥さんになると
いうのは、こんなに辛い思いをすること
なんだ」と思いこんでしまった。

そのせいだろうか、私は今年で30歳を
迎えるけれど、結婚に対して夢も希望も
持ないまま、一人でいる気楽さにどっぷり
浸かっている。

友人が一人二人と結婚していく度、
どうして自ら苦労へと足を踏み入れていく
んだろうと、不思議に思ってしまうのだ。

「一人のほうが勝手気ままでいい」

こう言い切る私に、母が茶色くなった封筒
の束を見せてくれた。

宛名を見ると、結婚前の母の名前が大きく
書かれてある。同じ封筒で同じ文字で、
何通も何通も。

首をかしげる私の横で、母はどこか照れた
ような笑みを浮かべて「なつかしいねぇ」
と言いながらヒモを外した。

そして弾んだ声で、

「これはな、父ちゃんがくれた
 ラブレター」
「ラブレター?父ちゃんが?」
「そう、裏見てみ」

私は封筒を次から次へと裏返していった。
差し出し人は全部、父の名前。そして

『愛するデコへ』『最愛のデコへ』
『親愛なるデコへ』

などの言葉が必ず添えられていた。
デコというのは母の若いころの愛称だ。

「うわぁ、父ちゃんがこんなこと書く
 なんて、信じられへん」
「ああ見えても、昔はマメやったんやで。
 毎日送ってきたんやから」
「毎日?うそぉ」

私は、とてつもなく照れくさい気持ちに
なった。何と言うか、
ものすごい恥ずかしさにおそわれたのだ。

無口で面倒くさがり屋で、家のこと何一つ
しない父が……。

「中、見ていい?」
「それはあかん。父ちゃんと母ちゃんだけ
 の秘密や」

そう言って、さっさと元通りに束ねて
しまった。不満に思いながらも、自分が
生まれる前の両親の姿を、ほんの少し
知れたのが嬉しかった。母は手紙の束を
撫でながら

「これがあるから、今まで嫌なことも苦労
も乗り越えてこれたんかもしれへんなぁ」
と呟いた。

その姿が、過去を愛おしんでいるようで
切なかった。

しばらくして母が病気で倒れてしまった。
何年も入退院や通院を繰り返し、最期は
病院のベッドで亡くなってしまった。

最後の入院で、いちばん母の傍にいたのは
父だった。ろくに家に帰って休むことも
なく、母の世活をしていた。

咳が出れば背中を優しく撫で、温かい
タオルで体を拭きご飯を食べさせてやり…

そんな姿を見て初めて、二人には私の
知らない部分でのつながりがたくさん
あるんだと気づいた。

父は母を愛していた。
きっと母も同じように。

あのラブレターは、今も大切にしまわれて
いる。いつか私が誰かを愛したときに、
一通ずつ読んでみようと思う。

そして、今度は書いた父自身に、当時の
母の面影を思い出しながら、楽しかった
日々のことを聞かせてほしい。

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うちの両親もよく喧嘩してるけど、
きっとこんな甘い日々があったんだろう。

そうと思うと、なんだかこっちが
恥ずかしくなってしまいます。



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