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たった一度の・・・

六年間の交際を経ての結婚とはいえ、
私にとって夫とは、はなはだ不可解な
人物だった。

何より、無頓着。誕生日も結婚記念日も
クリスマスもあったものではない。
イベント企画はもっぱら私のほうで、
プレゼントは一方通行。

かと思うと出張先の土産物屋でクマの顔の
鍋敷きとか「どこにつけるのだ?」という
ようなマスコットとか、奇妙な石なんかを
唐突に買ってくる。

私の話は一段も二段も軽く見て平気で
聞き流すくせ、記憶力は抜群で、忘れて
ほしいことに限って覚えている。

まだある。

甘えや泣きおとしが通じない。
観葉植物の世話を頼めば、ある時はすっぽ
かして枯らす。ある時はあふれんばかりに
水を注いで回ったあげく根腐れ・・・。

「要は、細やかさとか思いやりとか、情緒
みたいなモンが全然ないのね」

夫婦喧嘩ともなれば、それが私の投げつけ
たいせりふナンバーワンだった。

結婚丸三年で、私は初めての子を宿した。
ミレニアムベビーになるはずであった。

小柄で痩せっぽちな自分にずいぶんと
コンプレックスを抱いていた私は、狂喜
しながら、これが母となる貴重な貴重な
チャンスであることを心底感じていた。

だから夫が私の期待したほど喜ばないのが
不満だった。

一日じゅう家にいて、のんびりと、ベビー
用品を編みながら待つ自分と違い、夫が
食事の間も惜しんで働きづめであることを
私は深く考えもしなかった。

いずれ自然に実感してゆくはずの喜びや
父性を、むりやり夫に押しつけている
ような格好だった。

そんなふうで噛み合わないうち、私は結局
「貴重な貴重なチャンス」を失った。

子供を宿しにくい体は、同時に子供を育て
にくい体でもあるのかもしれなかった。

稽留流産と宣告された二月のはじめ、
私は人目もはばからず泣き続けながら
アパートに帰った。

暗い顔つきをした夫が、私の枕もとに
黙って座っていた。仕事に行くばかりの
スーツ姿で、それでも立ちあがろうとは
しないのだった。

ふいに何かがボタボタッと落ちてきて、
私はびっくりして泣くのをやめた。

背中を丸め、畳に顔を伏せて泣きじゃくる
夫がそこにいた。私はあっけにとられ、
次には激しく混乱した。

太陽が西から昇ろうとも、あの夫がこんな
ふうに泣く姿など生涯見ることはないと
思っていた。

と、せっかくとまった涙がまたあふれて
きて、私は今度は大声で泣いた。

入れかわりのように夫はむくっと起き、
顔を洗って仕事に行くと言った。それは
もういつもの夫で、ひとをくったように
落ちつきはらっているのだった。

奇跡のように授った子を亡くした哀しみは
癒えるものではなくて、そこにどっぷり
つかって這い上がれない私と、早くも現実
に戻った夫とは、半年以上のあいだ諍いが
絶えなかった。

だが、何が力になったかといって、夫の
一度きりの涙ほど私にとって大きかった
ものはない。

あの瞬間、夫は確かに私の苦しみの半分を
しっかり背負ってくれたのだと思う。
そして、いつかそれに二人で打ち克つこと
を誓ってくれたのだと思う。

あの日の夫の姿を、私は後々になって何度
でも思い起こした。するとどんなことでも
最後には耐えられる気がして、むしろ今が
幸福に思えて夫の想いがただただ嬉しくて、

あれ以来、夫は私にとつて不可解な存在
ではなくなったのである。

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これを読むとギャップが大事かということ
を思い知らされます。

と同時に、すぐに優しい言葉をかける男性
って心底そう思っているのかどうだか…

よっぽどこのご主人のほうが心からこの
奥様のことを本気で愛してるのでは
ないでしょうか?


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